人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大波の会 日記

ジム・ウィリスの詩-Ⅱ

このエッセイは、現実に日々たくさん起こっているやりきれない哀しい話です。

こんなにも一途な感情を持つ動物たちを平気で裏切る人間の罪。
動物たちに選択の余地はありません。
外国ではこのように、センターに持ち込まれた犬たちが獣医師の手によって、殺処分も少しは「安楽」に命を絶つことが可能であっても、日本での殺処分はそんな安楽死はありえません。

みんな最後までもがき苦しみ冷たいガス室で窒息死させられるのです。
(覚悟がある方は、こちらのページ最下段のリンクを見て下さい)
最後までこれを読んで、少しでも「何か」を感じてもらえたらと思います。
日本の殺処分方法の問題点と、飼い主放棄に対する罪の意識を持たせるための方法等を考えそのためには何をすればいいのか、真剣に取り組んでいきたいと思う。

ジム・ウィルスという方が書いたエッセイの紹介です。

ワンの物語
『How Could You...』 by Jim Wills, 2001

私がまだ子犬だった頃、私はあなたが喜ぶような仕草をして、あなたを笑わせました。

あなたは私のことを「うちの子」と呼び、私がどれだけ多くの靴やクッションを破壊しようとも、私たちは最良の友となりました。

私が悪さをすると、あなたは私を指差し、その指を振りながら、「どうして・・・?」と問いました。

しかしすぐに、あなたは微笑み、私を転がしておなかを撫でてくれました。

あなたがとても忙しかったので、私の破壊癖は思ったより長く続きましたが、それは、お互い時間をかけて解決しましたね。

あなたに寄り添い、あなたの信念や誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入った夜のことを私は今でも覚えています。

あのとき私は、これ以上幸せな生活はないと固く信じていました。

私たちはたくさん散歩をし公園で走り、ドライブし、途中でソフトクリームを食べました。

(あなたは「アイスクリームは犬の体に悪いから」と言って、私にはコーンしかくれませんでしたが・・・)

私はいつも陽だまりでうたた寝をしながら、あなたが一日の仕事を終えて家に帰ってくるのを待ちました。

次第に、あなたは仕事や出世のために費やす時間が長くなり、やがて人間のパートナーを探すようになりました。

私は辛抱強く待ちました。
あなたが傷付いた時や落ち込んだ時にはあなたを慰め、あなたの決断が間違っていても決して非難せず、あなたが家に帰ってくると、おおはしゃぎして喜びました。

あなたが恋に落ちたときも、いっしょになって歓喜しました。

彼女-今はあなたの奥さんですが-は「犬好き」な人ではありませんでしたが、それでも私は彼女を受け入れ、愛情を示し、彼女の言うことを聞きました。

あなたが幸せだったから、私も幸せだったのです・・・

やがて人間の赤ちゃんが産まれてきて、私も一緒にその興奮を味わいました。

赤ちゃんたちのそのピンク色の肌に、またその香りに私は魅了されました。

私も、赤ちゃんたちを可愛がりたかったのです。

しかしあなたたちは、私が赤ちゃんを傷つけるのではないかと心配し、私は一日の大半を他の部屋やケージに閉じ込められて過しました。

私がどれほど赤ちゃんたちを愛したいと思ったことか。
でも私は「愛の囚人」でした。

しかし赤ちゃんたちが成長するにつれて、私は彼らの友達になりました。

彼らは私の毛にしがみついて、よちよち足でつかまり立ちをしたり、私の目を指で突付いたり、耳をめくって中を覗いたり私の鼻にキスをしました。

私は彼らの全てを愛し、彼らが私を撫でるたびに喜びました。

何故なら、あなたはもう、めったに私を触らなかったから・・・

必要があれば私は命を投げ出しても、子供たちを守ったでしょう。

私は彼らのベッドにもぐりこみ、彼らの悩み事や、誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入りました。

そして一緒に、あなたを乗せて帰ってくる車の音を待ちました。

以前あなたは誰かに犬を飼っているかと聞かれると、私の写真を財布から取り出し、私の話を聞かせていたこともありました。

ここ数年、あなたは「ええ」とだけ答え、すぐに話題を変えました。

私は「あなたの犬」から「ただの犬」になり、あなたは私にかかる全ての出費を惜しむようになりました。

そして、あなたは別の街で新しい仕事を見つけ、

みんなでペット不可のマンションに引越しをすることになりました。

あなたは「自分の家族」のために正しい決断をしましたが、かつて、私があなたのたった一人の家族だった時もあったのです。

私は久々のドライブで、とても嬉しかった・・・保健所に着くまでは。

そこには犬や猫たちの、恐怖と絶望の臭いが漂っていました。

あなたは書類に記入を済ませて、係員に「この子によい里親を探してくれ」と言いました。

保健所の人は肩をすくめて、眉をひそめました。彼らは知っていたのです、歳を取った成犬たちが-たとえ「血統書」付きでも-直面する現実を・・・

あなたは、「パパやめて、ボクの犬を連れて行かせないで!」と叫ぶ息子の指を一本一本、私の首輪から引き離さなければなりませんでした。

私はあなたの子供のことを心配しました。

何故ならあなたはたった今このことを通して、友情、誠実さ、愛、責任、そしてすべての生命への尊重の意味を、彼に教えたのです。

あなたは私の頭を軽くたたき「さよなら」と言いました。あなたは私から目をそらし、首輪とリードを持ち帰ることさえ、丁重に断りました。

あなたにとって守るべき期日があったように、今度は私にも期日がやってきました。

あなたが去った後、優しい女性係員が二人やってきて言いました。

「何ヶ月も前からこの引越しのことを知っていたはずなのに、里親を探す努力もしなかったのね・・・」と。

彼女たちは首を振りながらつぶやきました。「どうして・・・?」

保健所の人たちは忙しさの合間に、とても親切にしてくれました。

もちろんゴハンはくれました。
でも、私の食欲はもう何日も前からなくなっていました。

最初は誰かが私のケージの前を通るたびに、走り寄りました。

あなたが考えを変えて私を迎えに来てくれたのだと願いました。

今回のことが全部、悪夢であってほしいと願いました。

そうでなければ、せめて私を気に留め、ここから助け出してくれる誰かが来てくれればと・・・

しかし、幼い子犬たちの愛情を求める可愛らしい仕草には敵わないと悟った年老いた私は、子犬たちの明るい運命を脇目に、ケージの隅に引っ込みひたすら待ちました。

ある日の夜、係員の女性の足音が近づいてきました。

私は彼女の後に続いて通路をとぼとぼ歩き、別の部屋に行きました。

しんと静まり返った部屋でした。

彼女は私を台の上に乗せ、私の耳を撫で心配しないで、と言いました。

私の心臓が、今まさに起きようとしている事実を予期し、ドキドキと鼓動しました。

しかし同時に、安心感のようなものも感じました。

かつての愛の囚人には、もう時は残されていませんでした。

生まれついての性格からか、私は自分のことより、係員の彼女のことを心配しました。

彼女が今果たそうとしている責務が、彼女に耐え難い重荷となってのしかかっていることを、私は知っていたからです・・・
かつて私があなたの気持ちをすべて感じ取ったように-。

彼女は頬に涙を流しながら、私の前肢に止血帯を巻きました。

私は、何年も前に私があなたを慰めたときと同じように、彼女の手を舐めました。

彼女は私の静脈に注射の針を挿入しました。

私は針の傷みと、体に流れ入る冷たい液体を感じ、横たわりました。

私は眠気に襲われながら彼女の目を見つめ、「どうして・・・?」と呟きました。

おそらく彼女は私の犬の言葉が分かったのでしょう、「本当にごめんなさい・・・」と言いました。

彼女は私を腕に抱きました。
そして、「あなたはもっと良い場所へ行くのよ。」

「ないがしろにされたり、虐待されたり、捨てられたり、自力で生きていかなけらばならないようなところではなく、愛と光に満ちた、この世界とは全く違う場所に、あなたが行くのを見届けるのが私の仕事なの・・・。」と、急ぐように説明しました。

私は最後の力を振り絞り、尻尾を一振りすることで、彼女に伝えようとしました。

さっきの「どうして・・・?」は彼女に対する言葉ではなく、あなた、私の最愛なる主人である、あなたへの言葉だったのだと・・・。

私はいつもあなたのことを想っていました。
これからもあなたのことを想うでしょう・・・

そして私は永遠に、あなたを待ち続けます。

あなたの人生に関わる人すべてが、これからもずっと私と同じくらい誠実でありますように・・・



***************************************
毎月恒例の譲渡会を開催致します。
日時:6月28日(日) 11:00~16:00
場所:こちらをご覧下さい。
屋根付きのため、雨天でも開催します。
晴れていれば、譲渡会会場にてバザーも実施し致します。


***************************************
皆様からの温かいご支援をお願いしています。
是非大波の会ホームページもご覧下さい。

by onaminokai | 2009-06-20 20:58 | 雑記
<< こてつ 山の猫 >>



京都を拠点とする犬・猫のレスキュー日誌

by onaminokai
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
2020年 12月
2020年 09月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 01月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 03月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 09月
2018年 06月
2018年 04月
2018年 02月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
最新のトラックバック
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧